稚児ヶ滝 と 不動の滝
崇徳天皇白峯陵の北の断崖(稚児ヶ嶽)の西端から流れ落ちる「稚児ヶ滝」と天皇寺奥の院の場所にある「城山不動の滝」は、上皇の祀りに関連する坂出市内にある二つの「滝」です。
それぞれの滝の簡単な説明と映像(下:You Tube)で紹介します。
[白峰山・稚児ヶ滝(ちごがたき)]
白峯寺山門の石橋の下を流れる小さな川は、白峯御陵のすぐ北にある断崖絶壁「稚児ヶ嶽」から流れ落ちる「稚児ヶ滝」となって姿を現します。80メートル程という滝の高さは県内最大級ですが、流域面積が狭いのでまとまった雨が降らないと現れない「幻の瀑布」です。白峯寺、白峯御陵のすぐ近くを巡り流れて御陵の北で瀑布になって現れるのは、「皇室に関わりのある方が白峰を訪れると雨になる」という噂話と何か不思議な繋がりがあるのでしょうか。
*坂出市にあるもう一つの有名な滝は、崇徳天皇社別当寺「摩尼珠院」(廃寺)と天皇寺の奥の院の場所にある「城山不動の滝」です。
[城山・不動の滝(ふどうのたき)]
崇徳上皇の最後のお住まいとなった場所(一次資料に記された「讃岐のさとの海士庄」から遷されて幽閉された場所)を祀るため崇徳天皇社が建立されたとき、この山(金山:かなやま)の中腹に弘法大師が開いた摩尼珠院が別当寺に任じられ、天皇社の場所に移転し再建されました。この崇徳天皇社(現在の白峰宮と天皇寺)の南の山、城山(きやま)の中腹にある「不動の滝」は、摩尼珠院と天皇寺の奥の院の場所にあたり、古い時代から修験者の修行の場・霊場だったようです。
この地に伝わる話によると、「上皇が崩御されたとき、城山のこの谷にある不動滝の横を墓所とするのが第一案でしたが「あまりに近すぎる」ため白峰を墓所とすることになった」という話しが口伝で遺されているそうです。いずれも真言密教や修験者の修行と縁のある場所ですが、不動の滝のある谷は上皇が住まわれた天皇社(明りの宮)から見上げる所、白峰は高い山上の修験の場所(寺)に隣接している所、何れかという選択肢・・。京の政権人はこの辺りの地勢には不案内ですから、讃岐国府庁が示した案の中から決定されたというのが現実の姿だったのでしょう。
(不動の滝 上の映像:夏季 下の映像:冬季 の撮影です)
稚児ヶ滝